学長・運営専門部会長メッセージ

プログラムについて

学長メッセージ

寺嶋一彦 学長

寺嶋一彦 学長

本学は1976年の開学以来、大学院に重点を置いた教育方針のもと、産業界で活躍する高度技術者を育ててきました。高等専門学校からの進学者を中心として、工業高校や普通校からの進学者、さらにそれらの約半数に推薦入学制度を適用するなど多様な学生を受け入れ、らせん型教育という基礎と専門を交互に繰り返しながら行う教育によって、科学を理解し、技術に強い関心を持つ技術者に育てています。そのために、学部・修士(博士前期)の一貫教育を基本としていますが、社会産業構造の変化やグローバル人材育成の要求に答えるために博士後期課程のさらなる重点化も進めております。既に、21世紀COEプログラム(インテリジェントヒューマンセンシング)、未来社会の生態恒常性工学、共に平成14-18年度)、グローバルCOEプログラム(インテリジェントセンシングのフロンティア)、平成19-23年度)、社会の要請に対応する学際的教育推進(企業と協働したテーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム、平成21-27年度)の各事業を通して育成された優秀な人材が社会で活躍しています。これらの流れをくんだ本教育プログラム「超大規模脳情報を高度に技術するブレイン情報アーキテクトの育成」は、脳の世紀とも言われる現代における新しい科学的問題や技術的問題を発見し、解決手法を創り出し、人間生活と地球環境を良くしていく技術を生み出すようなグローバル人材の育成を目指しています。

  本学の精神「技術を極め、技術を創る」のもと、豊かで幸せな未来を設計する人材が本プログラムから育っていくことを期待しています。

プログラム運営専門部会長メッセージ

南 哲人

南 哲人

私たちの生活には情報エレクトロニクス技術が溢れています。多くの人がひとときも身から離すことのない携帯電話は今やスマートフォンが主体となり一昔前の大型コンピュータを越える情報処理能力を持ち、音声や映像のみならず、位置、振動、温度など様々な情報を大量にリアルタイムで処理しています。自動車もまたもはや電化製品とも言える程多くの情報エレクトロニクス技術を積み込んでおり、カメラやレーザーセンサなど多くのセンサからの情報を処理することで運転補助・自動ブレーキから運転の自動化までが現実になっています。

  しかし、こうした情報エレクトロニクスの発展は必ずしも良い面ばかりではなく、現代社会に著しい変化をもたらし、例えばシステムの長大化・巨大化と情報ダイナミクスの複雑化、環境負荷の増大、あるいはデジタルデバイドの拡大もが生じています。私たちは、こうした問題に対して、単に情報を高速に効率的に伝送・蓄積・利用するための技術から、「人間あるいは社会(組織)としての認知、理解、意思決定、行動などに対する科学的理解に立脚した情報エレクトロニクス」という新しいパラダイムへの転換を行う必要があります。

  そのために本プログラムでは、「脳」に着目します。莫大な情報の泉としての脳を、ゲノムなどのミクロな領域から社会(組織)のマクロな領域に至るまでの極めて広範な領域の中で深く探求することで、その機能やシステムに学んだ革新的情報科学技術を創造できる人材育成を目指します。

脳や心の解明は、科学の最後のフロンティアとも言われています。脳の解明には、新しい計測手法や分析方法の開発が欠かせません。既に本学のEIIRIS(エレクトロニクス先端融合研究所)では、結晶成長による神経細胞記録・刺激・治療用生体内埋め込みマイクロプローブ・チューブアレイチップ(Toyohashi Probe)やイオンイメージセンサ技術を利用した医療用バイオセンサチップの開発を行っています。そこで学内外の情報エレクトロニクス、神経生理学、認知神経科学、医学等の研究者・研究機関とも連携・協働することで、ゲノム機能解析、バイオセンシング、ナノフォトニクス、脳情報デコーディング、バーチャルブレイン・シミュレーションの5つの分野における先端科学技術教育を強化し、産業界と密接な教育連携を図る教育プログラムを実施します。

  これによって、ゲノムから脳、個人・社会に至る多様な時空間スケールの脳情報に対し、センシングやシミュレーション技術を駆使して脳科学の様々な課題解決に直接結びつけるとともに、この脳に学んだ新しい原理を新規のエレクトロニクスデバイスや情報処理方式に展開できる能力をもつ人材「ブレイン情報アーキテクト」を世界に先駆け養成します。

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